グルテンの形成につて

最近、グルテンフリーという単語を聞く機会が多いと思います。

グルテンとは、小麦中に含まれるたんぱく質の「グリアジン」と「グルテニン」に水を加えて混ぜると発生する粘弾性のある物質です。

グリアジンは、粘着力が強く糸状に伸びる性質があり、グルテニンは弾性の強い固まりとなる。この両者を引き合って、これに水を加えてこねることにより編み目構造をつくりグルテンを生成します。

強力粉は強靭なグルテンが多く形成され、薄力粉はグルテンの生成量少ない
薄力粉と強力粉の違い

②日本の夏のような高温多湿の状態で長期保存(半年~1年)することによって、グルテンの形成能力が低下する

③一定量の水を加えるときに、一度に全部加えて混ぜるか少しずつ加えながら混ぜるかで、グルテンの形成は異なる。少しずつ混ぜた方がグルテンは良く形成される

④こねはじめた直後は粘弾性が強く、伸展性が弱いが、こねるにしたがって伸展性が増す。しばらく放置(ねかせる)ことによって伸展性が大きくなる

食塩を加えることで粘弾性が強くなる。(酵素の働きと、発酵の進行を遅らせる

⑥砂糖を加えると、少量の添加では、粘弾性は減少させるが、伸展性や安定性は向上する。大量の砂糖(小麦粉の30%以上)を加えると、グルテンの形成を抑える働きがある。これは砂糖と親水性が強いため、水と砂糖が結びつき、グルテンの形成を阻害するため。また、砂糖と水を混ぜてから小麦粉を加えるとグルテンの形成は抑えられるが、小麦粉に水を加えてから砂糖を加えると影響は小さい

油脂と乳化剤はタンパク質をコーティングし、水和とグルテンの形成を阻害するが、伸展性は増し、なめらかな生地になる。なお、小麦粉と水を混ぜた後に油脂を加えるより、小麦粉と油脂を混ぜた後に水を加えてこねた場合の方が、グルテンの生成が少ない

⑧小麦粉にアルカリ性の水を加えてこねるとグルテニンに作用して伸展性が増す。中華めんをつくるときに灌水(かんすい・・炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の混合溶液など)を加えるのはこのため
弾力性の富むグルテン形成はPh5~6が最も理想的で、これより高くても低くても、弾力性が低くよく伸びる生地ができる。

⑨混ぜる水の水温が高いほど吸水が速く粘弾性が出やすい。温度が低いと吸水性が悪く硬くなる。また、温度が70℃より高くなるとでんぷんの糊化やたんぱく質の変性に影響しグルテンの形成が悪くなる

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参考文献 NEW調理と理論 マギーキッチンサイエンス 総合調理科学事典 天ぷら全仕事 食の科学