ワサビと虫よけ

ワサビと虫よけ

私たちは昆虫から色々な動物にいたるまで、ワサビの受容体の遺伝子を引き継いでいる。
つまり、ワサビの受容体であるTRPA1を動物は非常に古くから持っているのである。

一方で、カプサイシン受容体TRPV1は進化の過程で魚類から現れる。
鳥もカプサイシンの辛味は感じないが、ワサビの辛味は感じるとされている。

洋服ダンスの虫よけであるクスノキから取れる樟脳(しょうのう)のカンフルという成分は、昆虫のTRPA1を刺激して虫を寄せ付けない。
つまり、昆虫はカンフルを痛いと感じて洋服ダンスによってこないのである。
ワサビの受容体であるTRPA1は、昆虫の忌避剤となる。そのため、ワサビ自体にも防虫効果がある


樟脳(カンフルの原料)

参考文献 食の脳

温度が変わると味の感じ方が変わる理由

温度が変わると味の感じ方が変わる理由

温度の変化と味の感じ方

口の中には、TRPM5というイオンチャネルがある。

この受容体は、以下の特性がある。
●味(甘味、うま味、にが味)を感じる
●温かい温度を感じる

このTRPM5は、温度によって活性が変化する。

温度が温かいと、
→TRPM5が活性化する
→甘味、うま味、苦味の感覚が増強される

つまり、温かいと甘味、うま味、苦味を感じやすくなる。

例:温いジュースは甘い、冷めたコーヒーは苦い

参考文献 食の脳

なぜ香辛料で温度感を演出できないのか

なぜ香辛料で温度感を演出できないのか

唐辛子を食べたら熱いと感じるのは、辛味成分のカプサイシンが熱い温度を感じる受容体のTRPV1に作用するため
逆にミントのメンソールは、冷たい温度を感じる受容体のTRPM8に作用する

他の香辛料も、それぞれ対応した温度の受容体に反応するが、同時に熱い温度と冷たい温度の受容体が反応することが多い。
例:オレガノ(カルバクロール)の場合は、TRPV3(温かい)、TRPM8(冷たい)、TRPA1(冷たい)が反応する。

他の香辛料も同様に、様々な受容体を同時に活性化させるため、非常に複雑になっている。
そのため、 香辛料で温度感を演出するのは難しいと言える。

参考文献 食の脳