一般家庭であまりしない調理方法に「蒸す」がある。
「蒸す」の特徴としては
①安定して100℃で加熱できる。(焦げない)
②調理(温度)のムラができない。(水蒸気は隅々までいきわたり、かき回す必要がない)
③食材に素早く熱を通す。(水蒸気が食材の表面で凝結し水滴となる際に大量のエネルギーを放出するため)
④煮崩れがしにくい。
⑤流動性のあるもの(スープなど)は容器に入れて加熱でき、濁(にご)りにくい。(スープ内で対流がおこらないため)
⑥水溶性成分が水の中に溶け出ることがない。(旨味や風味が逃げにくい)
蒸し方 | 例 |
100℃の温度を保ちながら加熱する場合 | まんじゅう類、団子・もち類、蒸しカステラ・蒸しパン類、冷や飯、いも類、魚・貝類、肉類、スープ類など |
100℃の温度を保ちながら、ふり水または、きりをふく場合 | こわ飯、硬くなった冷や飯やパン類、まんじゅう・もち類 |
85℃~90℃を保つために弱火にしたり、蓋をずらして温度調整をしながら蒸す場合 | 卵豆腐、茶碗家禽類蒸し、カスタードプディングなど |
適した食材・・魚介類やあくの少ない野菜。鶏の胸肉など家禽(かきん)類の、脂肪分が少なく淡白な部位
注意点
①蒸す場合、表面についた調味料は加熱中に流れ落ちずに、ほぼそのまま残るため最初の塩・こしょうの量には注意する。
②微量だが物体の表面のうま味や栄養素が、水に溶け込んで失われる事がある。つまり、食品の表面積が小さいほど味や栄養の損失が小さい。(大切りにしたほうが表面積が減る)
③蒸している間に調味できない。
参考資料 マギーキッチンサイエンス わかりやすい日本料理 よくわかる中国料理基礎の基礎 「こつ」の科学 総合調理科学事典 NEW調理と理論