【料理科学】ハンバーグの原理解体について

【料理科学】ハンバーグの原理解体について

料理のレシピ本には必要な食材や調理工程が記載されているが、何故そうなのかという理由は載っていない

多くの人が、特に疑問を持たず「料理はそういうものだから」と感じてしまうが、食材や調理工程には理由がある。

ここでは、レシピを全て分解して、各事象を解説する。
これにより、分解された料理の原理を理解することができ、更に組み合わせを変えることで料理に応用を利かすことができる。

今回は、ハンバーグのレシピについて、原理解体していく。


■ 例:材料(2人分)

● 合いびき肉 … 300g
● 玉ねぎ … 1/2個(約100g)
● 卵 … 1個
● パン粉 … 1/2カップ(約15g)
● 牛乳 … 大さじ2
● 塩 … 小さじ1/2
● こしょう … 少々
● サラダ油 … 小さじ1

【ソース】
● ケチャップ 大さじ3
● ウスターソース 大さじ2

上記は、一般的なハンバーグのレシピの材料である。


1.塩分濃度について

まず、材料に書かれている「塩 … 小さじ1/2 」について考えてみる。
これは約3gになる。

このレシピの全量は、
300g(合いびき肉)
100g(玉ねぎ)
50g(卵)
15g(パン粉)
30g(牛乳)
3g(塩)
1g(こしょう)

となっている。
調理すると加熱するため、約20~30%抜ける。

仮に調理過程で 60g 水分が蒸発した場合、ハンバーグ(2個)の合計重量は

439gとなる。

塩3gが入っているため、塩分濃度は0.68%となる。
(人の好みの塩分濃度は0.8~1.2%
若干薄味だが、ソースをつけると丁度よくなる。

● ケチャップの塩分濃度 約3%
● ウスターソースの塩分濃度 約3.3%

つまり、計算すると約2.34gの塩分が含まれており、先ほどのハンバーグに加えると
合計の塩分濃度は約1.1%前後となり、しっかり味の付いたハンバーグに仕上がる。


2.合いびき肉を使う理由

料理のレシピ本には、合いびき肉を使うと書かれていることが多い。
この理由は3つある。

①柔らかく仕上がる
脂身は、同じ熱をかけても、肉よりも熱伝導率が悪い
脂身が多い豚肉を混ぜることで、ハンバーグの肉の温度の上がり方はゆるやかになるため、肉がかたくなるのを防止できる。
※肉の組織は急速に加熱されると硬くなる。
さらに、脂肪は加熱すると溶けて肉の組織の間に入り込み、肉の密度を下げるため柔らかく仕上がる。

②おいしい香がする
●牛肉を100℃で加熱すると
→空気に触れる表面では揚げ油臭
→空気に触れない内側では甘いリンゴ臭

●豚肉を100℃で加熱すると
→空気に触れる表面ではベーコン臭
→空気に触れない内側では刺激性のチーズ臭

二種類の合いびきをすることで、香りの幅を広くし、肉をよりおいしく感じさせる狙い。

③食感を良くする
牛肉の脂肪と豚肉の脂肪では融点(溶ける温度)が違う
→牛脂は40~50℃
→豚脂は28~48℃

豚脂は口内温度(36℃前後)で比較的溶ける事から口当たりがよく、味のまるみだしに働く。


3. 卵を入れる理由

ハンバーグには卵を入れる事が多い。
一般的には、結着力を肉に持たせるためである。
これは戦後、流通していた挽肉の鮮度が悪いものばかりだったので、不足した結着力を補うために入れていたのである。

そのため、現在では流通している挽肉であれば、実は卵を使う必要が無い。
また、卵を使わないことで肉の味がしっかりしたハンバーグにすることができる。


4. パン粉を加える理由

パン粉を加えるとジューシーに仕上がる。

画像

上記の表より、水を含ましたパン粉を加えると、結果として加熱後の重量減少が抑えられる。
つまり、ハンバーグがジューシーに仕上がる

4.1 パン粉を湿らす理由

パン粉は肉汁を吸収する働きがある。
よくパン粉を牛乳に湿らしてから使うと書かれているが、これは肉汁を吸収しても、乾燥したまま残る場合があるのでそれを防ぐため。
※昔のパン粉は乾燥しすぎてて固かったため牛乳を使用していた。
つまり、ソフトなパン粉には牛乳は必要ない

また、逆に湿らせすぎると肉汁の吸収率が落ちる
パン粉の入れる量は書籍によってバラバラだが、目安は肉の重量に対して10%ぐらいとなっている。


5. パン粉を牛乳に浸す理由

牛乳である理由は、牛乳には「ラクトン」という、和牛に含まれる香りがあり、牛肉の風味に奥行きが出るため。

ただし、他の液体でも代用可能で、昆布ダシの場合はグルタミン酸が含まれ、肉のイノシン酸との味の相乗効果を狙うことができる。


6. 玉ねぎを入れる理由

ハンバーグにコクと甘味が出る
(※玉ねぎの主成分は糖類である。そのため、加熱することで辛み成分の塩化アリルが揮発・分解し、糖類の甘味が引き立って甘く感じる)


7. コショウを入れる理由

一般的に肉の臭みを消すためである。
別の強い芳香を加えることで、元々の食材の臭みを感じにくくする
(化学的にくっついて別の物質にする)

強い芳香は味覚の感じ方に影響を与え、塩味の感じ方を変えることがある。

●低濃度の塩分溶液にコショウを入れると、塩の物足りなさ(感じ方)を底上げする。
●高濃度の塩分溶液にコショウを入れると、塩味が薄く感じる。


このように、ハンバーグに加える材料には、全て科学的な理由がある。

ここまでが「材料編」です。
料理の材料には。それぞれ明確な役割が存在する。

実際の調理工程では

●なぜ肉をこねるのか
●なぜ形成するのか
●なぜ焼くと肉汁が出るのか

など、さらに深い仕組みがあります。

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好まれる「おいしさ」の表現の言葉

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おいしさを感じる言葉
シズル感を表現する言葉の3分野

言葉にも流行があり、「時間を感じさせる」などは、忙しい現代社会ならではの価値観を表している。
「じっくり」や「コトコト炊いた」など、直接的に味を表現していないものの、日常の食事作りにはあまり時間をかけれない。
つまり、本当は時間をかけた方がおいしいと思っていると感じている。

テクスチャーと用語

参考文献 コンビニ食と脳科学