たいていの食品は、加熱すると風味がよくなる。
理由としては
●タンパク質がアミノ酸に分解され味蕾を刺激する
●デンプンはより甘い糖に分解される
●かたい繊維は弱くなり、食感がよくなる
●過剰な水分は外に出る
しかし、これらは牡蠣のような貝類には当てはまらない。
貝類は長く加熱するほど風味が損なわれる。
軟体動物は、アミノ酸(特にグルタミン酸)を使って、海水の脱水作用(浸透圧)から身を守っている。
牡蠣のような貝類を加熱すると、複雑な加熱プロセスによって、グルタミン酸が閉じ込められ、同時に筋肉のタンパク質が凝固して、グルタミン酸が味蕾に届かなくなる。
グルタミン酸をもう一度放出する方法は、タンパク質が分解するほど長時間加熱することだが、加熱により牡蠣は硬くなってしまう。
参考文献 料理の科学大図鑑