酢酸菌について

酢酸菌(さくさんきん)とは、アルコールや糖類をエサにエネルギーを得て、酢酸を生成する好気性細菌(酸素がある環境で活動する菌)のこと
代表的な酢酸菌として、食酢を醸造する際に用いられるアセトバクター・アセチがあり、花の蜜や傷ついた果実など(空気中)にも存在している。
作りたてのシードルやビールにも見られ、液体では表面に膜をつくる形で成長する。

仮に発酵済みアルコール飲料を空気中にさらせば最終的には酢になる。
より確実に酢を製造するには、※生の酢を加えるとよい。
※市販されている酢は低温殺菌されているため

酢酸菌は主に
アルコールを酸化するアセトバクター属
糖類を酸化するグルコノバクター属
に分けられる

【酢酸菌の特徴】
●自らが酸を生成するため耐酸性です。pH4以下でも繁殖できるものもある。
●耐アルコール性なので、アルコールから酢酸を生成することができる。ワインなどのアルコール飲料に酢酸菌が作用すると酢ができる。
●※酸素のある環境で繁殖する。表面に膜を張るように広がり、空気中の酸素を取り込んでアルコールを酢酸に変化させる。

CH3CH2OH + O2  → CH3C00H + H2O
アルコール + 酸素 → 酢酸 + 水

嫌気性酢酸産生菌も存在する

発酵食品 原料 酢酸菌 説明
米酢 米・麹 アセトバクター・アセチ 米を原料に作られた酢。米のみで作られた場合は純米酢という。
ワインビネガー ワイン アセトバクター・アセチ ワインに酵母や酢酸菌を加えて発酵、短期熟成させたもの。
モルトビネガー 大麦、麦汁のアルコール発酵物 アセトバクター・アセチ 麦芽酢。主にイギリスで作られる。もともとはビールが酢酸発酵したもので、現在は発酵前の麦芽浸出液(ビールの原料)から作られる。
バルサミコ酢 ブドウの濃縮果汁のアルコール発酵物 アセトバクター・アセチ、グルコノアセトバクター・エウロピアス 熟成したブドウの果実を絞り、煮詰めて樽でアルコール発酵、樽を何度も替えながら長期熟成させたもの。
ナタ・デ・ココ ココナッツ水 アセトバクター・キシリナム ココナッツ水を発酵させ、凝固させる

発酵と微生物
発酵について

参考文献 発酵検定 発酵の技法 マギーキッチンサイエンス 発酵のことが一冊でまるごとわかる