揚げものの衣を使い分ける理由

天ぷら、フライ、から揚げ、※₁フリッターなど、揚げものの種類によって衣にパン粉や小麦粉を使い分ける。
これは、「口当たり」以外にも理由がある。
※₁小麦粉の衣に牛乳などを加えて甘めに仕上げたもの。

【理由】
衣によって中に含まれているタネの火の通り具合をコントロールしているため。

例:サツマイモを①素揚げ、②天ぷら衣、③天ぷら衣をつけた後パン粉をつける、で揚げてみる。

①素揚げ
褐色の焦げ色がついている。
●周囲が硬く、焼きイモのような味になる。
→衣が無いと、高い温度がイモに直接伝わってどんどん水分が取られていく。

②天ぷら衣
白っぽい色をしている。
蒸したイモのように柔らかい。
→衣が防熱の役目を果たし、熱がやんわり伝わる
→水分が衣にさえぎられて逃げることができないため、蒸したような状態になる

③天ぷら衣をつけた後パン粉をつける
パン粉の部分が褐色になる。
イモはほとんど生で、食べることができない。
→パン粉は水分が少なく、砂糖やミルクが入っているので、メイラード反応が起こりやすく、短時間で褐色になる
中心に熱が伝わる前に、衣が褐色する。

【まとめ】
タネに火をあまり通したくない場合
●エビや牡蠣のように、火をあまり通したくない場合、パン粉をつけてフライにすることが多くい。
●天ぷら衣でも、エビや白身魚のように、火をあまり通したくない場合、卵を多く用いた薄めの衣をなるべくうっすらつけて、早く色がつくようにする。

タネにしっかり火を通したい場合
●揚げるのに時間がかかるイモのようなものは、火の通りが遅い天ぷらの衣をつけて、ゆっくり揚げる。
●天ぷら衣でイモなどは、卵を控えめにした濃いめの衣を使って揚げると、ゆっくり揚げることができる。


ここからは主観です。

中身が薄くて衣ばかり厚いカツなどは、何回も衣やパン粉をつけて衣を厚くしている。
火の通りはよくないが、中身が薄いので、中心まで火が通るが、中の肉の味は蒸したようになっている。

フライは天ぷらより冷めてもおいしい

参考文献 「料理の雑学」ものしり事典