塩と砂糖の拡散速度

塩と砂糖の拡散速度

溶質(液体)の濃度が異なっている場合、溶質は濃度の高い方から低い方へと移動する。

この時の拡散速度は、濃度差が大きいほど速く、小さくなると遅くなる。したがって、煮物に調味料を加えた時、最初は速い速度で味付けができるが、濃度差が小さくなる後半部分では味の染み込む速度は低下する。

塩化ナトリウム(塩)とショ糖(砂糖)を比較すると、塩化ナトリウムはショ糖の約4倍の速度で拡散する。砂糖を食塩や醤油と同時に加えると、食塩がまず煮物の中で拡散して細胞内外液の濃度差を小さくするため、砂糖の拡散が困難になる。砂糖を加えた後に食塩やしょうゆを加えると、調味料がバランスよく拡散する。

料理の「さしすせそ」の理由
砂糖は分散性を良くする

参考文献 調理科学

粘度があると冷めにくい

粘度があると冷めにくい

容器に入った液体が冷めるときには、まず空気にさらされた表面の部分が冷えて、その部分の水が重くなって沈み、代わりにあたたかな液体が表面に上がってきてはまた冷やされ、これが下へ行くという循環を繰り返して、全体が冷めていきます。

この時、デンプン(片栗粉など)や砂糖の入った液体は粘りが強いため、この対流が非常に起こりにくくなっています。これにより、表面は冷やされても内部はあつさを保つことができます。しかも、デンプンや砂糖の入った液体は、液体自体も水だけの場合より大量の熱エネルギーを持っているため、さらに冷めにくい状態になります。

また、砂糖シロップやポタージュのような粘りの強い液体は、冷めていく途中で表面に膜を張ったような状態になり、水分の蒸発が少なくなります。水分が蒸発するとき、大量の熱エネルギーが奪われるため、蒸発が少ないということはそれだけ冷めるのを遅らせることができます。

【まとめ】
①粘りがあると対流しにくい
②粘りがあると熱エネルギーが多く持てる
③粘りがあると表面に膜を張り蒸発を抑える
このようにして、粘りがあると冷めにくくなる。

皿の形と液体の冷めやすさ
粘度と呈味効率

参考文献 「こつ」の科学

粘度と呈味効率

粘度と呈味効率

  濃度 ショ糖 食塩 グルタミン酸ナトリウム
じゃがいもでんぷん 10% 0.70 0.76 0.52
  20% 0.54 0.74 0.51
  30% 0.50 0.64 0.34
じゃがいもでんぷんと白玉粉(混合) 各10% 0.52 0.83 0.53
薄力粉 20% 0.58 0.72 0.41
強力粉 20% 0.59 0.74 0.42
上新粉 20% 0.45
寒天 1% 0.65 0.73 0.85
ゼラチン 4% 0.77 0.79 0.96
ゼラチン 8% 0.63 1.09
卵白 100% 0.72 0.78

表の見方
濃度・・・・・・・・・・・・水に物質がとけている割合
ショ糖・・・・・・・・・・・水と比べて感じる甘さの割合
食塩・・・・・・・・・・・・水と比べて感じる塩分の割合
グルタミン酸ナトリウム・・・水と比べて感じるうま味の割合

表から分かること
●ほぼ全ての味(甘味、塩味、うま味)は、水に溶かした場合より、粘度がある物質に溶かした場合の方が呈味効率が落ちる。(味が感じにくい)

●粘度があると、うま味は特に感じにくくなる

食塩は、粘度が増しても他の味と比べて感じやすい

●粘度が増す(硬くなる)ほど、味が感じにくくなる

甘いものの呈味効率
なめらかさと味
とろみの種類と唾液の混ざりやすさ


ここからは主観です
今回は、味のみの評価になります。
実際の料理にはフレイバー(匂い)が存在し、匂いによって味を感じる(強く感じる)・温度帯によって強く感じる味が違うなど、上記の表だけでは評価できないことが多々あります。
今回は、粘度が増すと味が感じにくくなるが、甘味、塩味、うま味が均等に感じにくくなるわけではないとだけ覚えておきましょう。

料理と温度
料理に塩を入れすぎた場合

参考文献 新訂調理科学