米のとぎ汁で茹でる理由
【結論】
米のとぎ汁で大根を茹でる主な理由は、
・糠成分やデンプンによるアク・えぐ味の軽減
・表面がコーティングされ、煮崩れしにくくなること
にあります。
「酵素による作用」と説明されることもありますが、
加熱条件では影響は限定的と考えられます。
米のとぎ汁で大根を茹でると良い、一度は聞いたことがあるかもしれません。
米のとぎ汁(糠(ぬか))にはビタミンや酵素が含まれている。また、米のとぎ汁は洗った時に米から溶け出したデンプンも多く含まれる。
大根をとぎ汁で茹でると、ただの水中で茹でた時と違ってこれらの成分が大根の中に入っていく。
①酵素の作用で組織が柔らかくなる
②酵素の働きで白く煮あがる
③デンプンが組織に浸み込んで、その粘りで形が崩れにくくなる
④糠の成分が大根のアクやえぐ味の成分を吸着して取り除く
注意点としては、とぎ汁は必ず水(低温)から加えておく必要がある。これは、酵素作用が加熱すると失われるためである。
参考文献 日本料理のコツ プロのためのわかりやすい日本料理
ここからは主観です。
これは、日本料理の現場で長く共有されてきた
「経験則としての考え」である。
なお、近年の調理科学の視点では、
これらの効果のうち「酵素」という表現については、
必ずしも酵素反応そのものを指しているとは限らず、
物理的・化学的作用を含めた
便宜的な表現と考えられる場合もある。
私の考えでは
①とき汁には組織(セミロース)を柔らかくする酵素は存在しない
→しかし、ぬか床を作った場合、その中に存在する微生物がセルロースを分解する物質を出す
これの考えが混ざった可能性がある。
②大根が白くなるのは、単純にデンプンが付着して、光が乱反射して白く見える
また、仮に酵素だったとしても、加熱によりすぐに温度が上がり失活するので、効果は非常に薄くなると考えられる。
このように、
「下処理として当たり前に行われている工程」には、
きちんとした理由があるものと、
ほとんど意味のないものが混在しています。
米のとぎ汁で大根を茹でる理由も、
その一例にすぎません。
家庭料理でよくある
・なぜ水から茹でるのか
・なぜ下ゆでするのか
・なぜ苦味が出るのか
といった疑問を、
料理科学の視点で
初心者向けの辞書として
体系的にまとめています。
