肉や魚に塩をふると、表面近くの水分がこれに溶け、濃い食塩水の状態になる。
これを薄めようと内部の水も表面に引き出されるので、身が引き締まって形がくずれず、焼きやすくなる。
また、グロブリン系統のタンパク質は食塩水によくとける性質を持っているため、食塩が浸透する。
アルブミンやグロブリン系のタンパク質は熱によって凝固するが、食塩があると速く進むので塩をした肉や魚は、焼いたときは早く表面が固まる。
この他の理由としては、塩によって、本来固まる温度より低い温度で固まるというのがある。
肉には水分が約60%含まれており、タンパク質はその水分に分散して、水分と結びついている。塩をふっておくと浸透圧の作用で肉の表面の水分がいくぶんか取り除かれるので、表面のタンパク質間の水が無くなり、タンパク質同士がくっつきやすくなる。
塩を早くからふると、水分にとけてうま味も失われてしまうので、肉は焼く直前、魚も30~1時間前にふる。