茶碗蒸しや卵豆腐は、蓋をずらして蒸す理由

蒸し物の場合、100℃で加熱を続けるのは簡単だが、それ以外の温度に保ったり、温度を上下させたりするのは難しい。
何故なら、火を弱めれば蒸気が発生せず、強めれば温度は100℃に到達してしまうからである。

茶碗蒸しや卵豆腐は材料を直接蒸気にさらして蒸すのではない。特に茶碗蒸しは容器に入った汁物の一種で、水蒸気は単におだやかな熱源として使っているだけである。
100℃で加熱すると、卵液の中にできた気泡の抜け場がないうちに卵が凝固を始めるために、内部に「す」が立ってしまう。これを防ぐ適切な方法はなく、蒸し器の蓋をずらしたりして、内部温度を90℃以下に保つよう調節する。

※卵生地の表面の泡は除いておかないと、蒸したときに跡が残る。ガスバーナーの炎をあてると簡単に消える
※最初は強火で全体に熱をいきわたらせて、卵とだし汁が分離するのを防ぎ、表面が白っぽくなったら弱火(蓋をずらして)にして、「す」が立たないようにする。
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参考文献 日本料理のコツ NEW調理と理論 プロのためのわかりやすい日本料理 「こつ」の科学