洋食の基本背景

フランス料理は16世紀まで「手づかみ」で食べていたとされている。
これは、当時「指は神から与えられた優れた道具」と教えられていた宗教的な理由によるもの。

しかし、17世紀にはフランスの高級宮廷料理モデル「オートキュイジーヌ」(至高料理)が完成し、その後18世紀末に起こったフランス革命により、宮廷料理人らはいっぺんに失職する。
彼らが街中でフレンチレストランを開業するようになって、庶民に広くフランス料理が広まったとされている。

フランス料理のマナーは、どのような背景からできたかというと、「危機管理」からである。
ヨーロッパでは16世紀以降、宗教戦争という武力抗争が続いていた。
そして、食事では、相手を値踏みしたり、情報を引き出したりする「情報戦の場」とされていた。

●挨拶は、日本では頭を深々下げるが(相手に攻撃のチャンスがある)、西洋では軽く会釈をしながら、笑顔で目線を外さないというスタイルが鉄則。

●「両手をテーブルに置く」というマナーは、「私は武器を隠し持っていません」とアピールするため。

●「ワインなどを振舞う際、ホストがワインを試飲してから」というマナーは、「毒が入っていない」と証明してみせるため

●西洋での食事とは「交渉事の場」のため、相槌を打つばかりでは「面白くない」「教養がない」と低くみられるため、話題の土俵を自分の得意分野に何とか移してでも「自分から発信すること」が大事とされていた。

●「残さず食べつくす」ということは、「こんな贅沢な食事は初めてです(久しぶりです)=裕福な生まれではありません(困窮してます)」と全身でアピールしているのと同じ。「残すこと」こそ「贅沢な食事も食べ慣れていますよ」と、自分の価値を高めることにつながるとされていた。(※現代では違う)

和食の基本背景

参考文献 おとなの清潔感をつくる教養としての食べ方