寿司はマナーより「粋」の世界

寿司は「江戸の食の四天王」のひとつと称されるほど、日本人に古くから愛されている。

「寿司」「天ぷら」「そば」「うなぎ」は、江戸時代になって現在のような形に形成され「江戸の四大名物」として庶民の人気を集めていた。
いずれもコンパクトな「屋台」の形でスピーディーに調理され、提供されていた。
今でいうファーストフード的な存在だったとされている。

当時の江戸は独身男性が多かった(参勤交代のため、地方から出てきている武士も多い)ことや、火事の多さで知られた江戸の町では、室内での火の使用は嫌われていた。
また、せっかちな江戸っ子の気質に合ったなどの理由から、これら四天王は人気を博した。

こんな背景があったため、お寿司屋さんでは、料亭などで求められるような「黙って静かにお行儀よく」という方向性とは異なる姿勢が求められる。
その姿勢を一言で表すと、江戸時代に発祥した「」という概念に集約される。

粋を現代風に言い直すと「身なりや振る舞いが洗練されていて、周りの空気が読めて思いやりがあること。気取ったところがないかわりに親しみやすく、明るいこと」となる。

和食の基本背景

参考文献 おとなの清潔感をつくる教養としての食べ方