今回はネタ話です
「地卵の新しき、針にて頭の方へ、一寸ばかり穴をあけ、糠味噌へ三日ほどつけておきて煎貫にすれば中身の黄身が外へなり白身が中へ入りて、これを黄身返し卵といふ」
これは、江戸時代後期に書かれた「万宝料理秘密箱」という書物の一節です。
この料理は上記の方法では再現できない料理とされていましたが、料理のなんでも小辞典にて、「黄身返し卵」の研究が書かれていたので紹介します。
①「地卵の新しき」・・・これは、当時は江戸時代のため、有精卵だったと考えられる
②「針にて頭の方へ、一寸ばかり穴をあけ」・・・これは、卵黄膜を破ること
③「糠味噌へ三日ほどつけおき」・・・これは、有精卵を温めて孵化を進めること
上記の世に解釈をし、温度37℃、湿度80℃の孵化条件で有精卵を温めて、卵の中の卵白と卵黄の変化を調べてみた。
結果、有精卵の中では3~4日目に変化が起こる。
●卵白の水分とタンパク質が卵黄膜を通過して卵黄にへ移る
→卵黄が2倍近く膨れて水分が多くなる
●卵白は水分をとられて約半分の重量になる
→濃厚卵白がより硬くなって濃厚化する
つまり、卵黄と卵白の重量と粘度が逆転する。
この卵は卵黄膜が弱く、ゆでると自然に卵黄膜が破れて、水様化した卵黄が濃厚化した卵白を包み込んで固まり、外側が卵黄色で中心が白色の黄身返しになる。
参考文献 料理のなんでも小辞典