そうめんと厄(やく)

そうめんは、梅雨の時期を超すとコシが強くなり味を良くする

【理由】
そうめんは乾麺にする過程で、麺同士がくっつかないように表面に植物油を塗る
植物油を塗った乾麺は、保管中に小麦粉の中にある酵素の働きによって、植物油の不飽和脂肪酸が分解され、アルデヒド(有機化合物)が生成される。
アルデヒド(ヘキサナール)がグルテンと結合して、グルテン構造が補強されるため、歯ごたえが強くなる。

【まとめ】
そうめんに塗った植物油

小麦粉の中に含まれる酵素 + 水分(梅雨の時期の湿度) + 温度(梅雨の時期の気温)

グルテンを補強(コシが強くなる) + でんぷんの一部は糖類になる + タンパク質は分解してアミノ酸になる

コシが強くなり、味が良くなる(塗った油や小麦粉に含まれる脂肪のにおいがとれる)
ゆで麺を冷水で洗う

そうめんに塩が入っている理由

このグルテン構造が補強される現象を厄(やく)と呼ぶ
以前は管理が悪いと、この時そうめんが腐ったので厄(やく)と呼ばれるようになった。


また、そうめんは冬場に製造して2年間保管したものを「古物(ひねもの)」、3年間保管したのもを「大古物(おおひねもの)」と呼んで付加価値をつけて販売している。
ただし、植物油は不飽和脂肪酸が多いため、品質劣化も起こりやすいので注意が必要。

参考文献 麺の科学 調理事典