膨張剤の中には「炭酸ガス」に加え「アンモニアガス」を発生させ生地を強力に膨らませるものがある。
この「アンモニア系膨張剤」には2種類ある
【炭酸水素アンモニウム(アンモニアパウダー)】
「炭酸水素アンモニウム」単独で用いられる膨張剤
→水に溶かすと、室温から蒸し温度にかけて分解して、「炭酸ガス」と「アンモニアガス」の両方を発生
→特に70℃を超えると強力にガス化する(常温でもアンモニア臭がする)
使用例:蜂の巣揚げ
室温で反応し始める 2種類のガスで強い膨張力
炭酸水素アンモニウム → 水 + 炭酸ガス + アンモニアガス
NH₄HCO₃ → H₂O + CO₂ + NH₃
【イスパタ(イーストパウダー)】
「炭酸水素ナトリウム(重曹)」と「塩化アンモニウム」という2種類のガス発生剤を主成分として、数種類の助剤を加えた複合膨張剤
→重曹からは「炭酸ガス」
→塩化アンモニウムからは「アンモニアガス」
反応が後に残るのが塩化ナトリウム(食塩)のため、生地を中性~微酸性に調整しやすく、白く仕上げたい蒸し饅頭などに使われる。
使用例:薬饅頭
加熱 2種類のガスで強い膨張力
炭酸水素ナトリウム + 塩化アンモニウム → 塩化ナトリウム + 水 + 炭酸ガス + アンモニア
NaHCO₃ + NH₄Cl → NaCl + H₂O + CO₂ + NH₃
※アンモニアには独特な臭いがあるため、生地の中に残ると、風味を損なうため注意が必要(つまり、しっかり化学反応させること)
参考文献 お菓子「こつ」の科学