干しシイタケのうま味を強くする

【方法】
1分間に4℃の割合で温度を上昇するゆっくりと60℃付近まで加熱する
方法としては、干しシイタケをもどし汁と一緒に蒸してみるとよい(ゆっくり温度が上がる)
※書籍によっては1分間に7℃上昇させる方がよいと書かれている。

【解説】
干しシイタケのうま味成分であるグアニル酸という成分は、もともと干しシイタケ中に多量に含まれているわけではなく、加熱調理中に作り出されるため、調理条件によってうま味の強さが変わってくる。
グアニル酸は、干しシイタケに含まれているヌクレアーゼという酵素によって核酸が分解されて作られます。しかし、干しシイタケには作り出されたうま味成分のグアニル酸を分解するホスファターゼという酵素も含まれており、これらの酵素のどちらが強く働くかによってうま味の強さが変わってきます

ヌクレアーゼ(うま味を作り出す方)
●しいたけの菌傘(きんさん)にあるひだ部分の表層部に多く分布している
●中性付近では60℃前後まで働く(干しシイタケでは50~70℃でもっとも多く生成

ホスファターゼ(うま味を分解する方)
●しいたけの菌傘の上部表層にかたよって存在
●酸性では60℃まで働く
●中性から微アルカリ性では40℃で働かなくなる
●ある程度、溶出したうま味成分が蓄積しないと働かない

酵素作用は高温になると失活するため、ヌクレアーゼ(うま味を作り出す方)をよく働かせ、ある程度うま味成分が蓄積したところで、ホスファターゼ(うま味を分解する方)が働かないように高温になるのが良い条件となります
電子レンジでの加熱では温度上昇速度が速く、うま味成分を作る酵素も分解する酵素も十分に働かないのでうま味は多く作れません

砂糖を加えてぬるま湯で戻す場合、うま味成分の生成が抑制されると考えられています
これは、浸透圧の影響で吸水や脱水が抑制されることで、うま味を効率よく作り出せないからだと考えられています

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参考文献 料理のなんでも小辞典 味・香り「こつ」の科学