ぬかには各種の酵素が多く含まれている。これらの酵素は、ぬか漬けの床の熟成に効果があるとともに、漬け込んだ材料に対しても働きがある。
ぬかに含まれる酵素としては、リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼなどがあり、これらがぬか自体の成分を分解し、うま味を出すとともに、乳酸菌の増殖に必要な栄養分を供給する
ぬかみそ漬けは、1日に少なくとも1回、夏など気温の高い時では1日に2~3回、床の底の方から上へかき混ぜ、全体に空気が入るようにする。
これをしないと、※乳酸菌以外の腐敗菌である嫌気性(空気を嫌う)の酢酸菌(さくさんきん)や酪酸菌(らくさんきん)などが増殖して、腐ったような不快な臭いが強くなる。ときには虫さえわく結果になる。
※一般的に乳酸菌も嫌気性であるが、酪酸菌はそれ以上に酸素に非常に弱い。また、乳酸菌も増えすぎると酸味が強くなりすぎて「酸敗」と呼ばれる漬物の劣化が起こる
しかし、毎日床をかき混ぜることで、半好気性菌(ちょっと空気を好む)である乳酸菌のみの育成をうながし、嫌気性の酢酸菌、酪酸菌やその他の雑菌の繁殖を防ぐ。また、かき混ぜることで、床の温度をいつも一定に保つことができる。