魚のダシ汁と肉のダシ汁で煮込み時間が違う

●フュメ・ド・ポワソンといわれる魚のだし汁は、淡白な白身魚のあらで作ります。
野菜は、薄切り、または小さく切る
②魚のあらと一緒に炒める
水を加えて30~40分煮る

【理由】
Ⅰ:白身魚は、やわらかで組織が崩れやすく(ダシが濁る)、煮る時間が短くても味が出る(長時間煮ると香りが飛ぶ)
Ⅱ:煮すぎると、魚の臭みが出る
この原因は2つあり
❶トリメチルアミンオキシドなどが熱などで分解され、トリメチルアミンができる(つまり、加熱により生臭い成分がでてくる)
❷酸化されやすい高度不飽和脂肪酸(DHA)が、熱によって酸化分解され、カルボニル化合物ができる
Ⅲ:30~40分で野菜から味がでるようにするため、薄く小さく切る(表面積を増やす

短時間しか煮ないので、炒めやすい浅くて底の広い鍋を使う

 

●ブイヨンやフォン・ド・ヴォーといわれる肉のだし汁は、長時間煮ます。
①玉ねぎ、にんじんなどの野菜は丸ごと入れる(大きく切る)
②肉と一緒にい炒める
水を加えて、ブイヨンなら4~6時間、フォン・ド・ヴォーなら8時間以上煮込む

【理由】
Ⅰ:肉は、煮ると縮んで固くなるので、長時間煮なければ味がでない
Ⅱ:煮すぎても臭みがでない
理由は、魚と違い臭み物質や高度不飽和脂肪酸が極めて少ないため
Ⅲ:長時間煮るため、小さく切ると野菜がドロドロに溶けて、ダシを濁らせてしまう(完全に溶けて野菜の風味が強くなり過ぎないようにするため)

長時間煮るため、水分が蒸発しにくい寸胴の深鍋を使う


ここからは主観です
上記の話は理論であって、そうしなければならないわけではありません
例えば、フォン・ド・ヴォーを作る時、書籍によっては野菜を切ると書かれています

フォンのたんぱく質溶出について
コンソメやブイヨンを長時間煮込む理由

参考文献 西洋料理のコツ