フグ毒について

フグの毒はテトロドトキシンといいます。
フグは自分で毒を作り出すわけではなく、食物から摂った毒を体内にため込むのです。テトロドトキシンの最初の生産者は藻類に付着する菌であると考えられています。それが食物連鎖を経て、高濃度化してフグに蓄積されます。

したがって、毒エサを摂取する機会のない※養殖フグは基本的に無毒です。しかし、天然フグといっしょに水槽で飼うと養殖フグも毒をもつようになる話もあります。つまり、養殖フグだからと言って、100%無毒とは限らないということです。

※ここでいう養殖フグとは、水槽で完全に隔離しているフグのことです。海にネットを張って隔離している養殖フグは、流れてくる毒エサを食べる可能性があるため安全ではありません。

フグ中毒の症状は摂取後20分~3時間で現れます。唇、舌先がしびれ、嘔吐、呼吸困難、血圧低下が起こり、最後に呼吸麻痺により死亡します。致死時間は4~6時間がもっとも多く、長くても8時間程度です。治療方法はありません。人工呼吸などの対症方法しかありません。

フグの種類によっては、全身にあるもの、特定の部位にだけあるものがあります。トラフグは、皮、肉、骨、精巣には毒が無く、卵巣と肝臓、血液には猛毒があります。

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参考文献 毒の科学