切り方と表面積

食材の切り方によって、表面積が変わるというのを聞いたことがあると思います。

最初の大きさ 10×10×5(cm) 体積500cm³ 表面積400cm²

切り方 切った後の大きさ(㎝) 一切れの体積(㎝³) できる個数(個) 一切れの表面積(㎝²) 総表面積(㎝²) 最初の表面積に対する倍率(倍) 1㎝³当たりの表面積(㎝²)
角切り 5×5×5 125 4 150 600 1.5 1.2
さいの目切り 1×1×1 1 500 6 3,000 7.5 6.0
短冊切り 1×5×0.5 2.5 200 16 3,200 8 6.4
拍子木切り 1×5×1 5 100 22 2,200 5.5 4.4
せん切り 0.5×5×0.5 1.25 400 10.5 4,200 10.5 8.4

味をつけるため、表面積をできるだけ大きくしたい場合や、細かく切りたいけれど食品からの成分の溶出を抑えるためにできるだけ表面積を小さくしたい場合など、目的によって切り方を変えるとよい。

体感で分かる通り、最も表面積が大きくなるはせん切りとなっています

同一体積で表面積が大きい順に形を比較してみると、
細長い棒状、平板状>細長い長方体、円柱≧平たい直方体>立方体>球

となっており、球体に近づくほど表面積は小さくなっていきます。

単純計算ですが、ゆで物などをする時、物体の表面積が2倍になると、熱が入る量も2倍になります。すなわち、大きさがバラバラなら、それぞれ伝わる熱量もバラバラになってしまう。このため、食材を切るときは大きさを揃えるいうのが料理の基本となります。

パン切りナイフで肉を切ると風味が増す
食材のサイズと熱の伝わり方

参考文献 新訂調理化学 物理がわかる物理・化学の基礎知識