ステーキを焼く時の塩のタイミング

肉を焼く前に塩をする理由
こちらの記事では、肉は焼く直前に塩をすると書いたが、一方で前もって塩ふっている方が良いという見解もある。
これは当然、肉の分厚さや部位によっても話が変わる。

肉に塩をふって1cm浸透する時間

5時間・・・若鳥のキュイス(もも肉)、豚のコート(骨付きあばら肉)、仔羊のコートレット(骨付き背肉)

10時間・・・牛のコート(あばら肉)、アントルコート(リブロース)

15時間・・・バヴェット(上方腹部肉)、牛のロティ(ロースト)、ジゴ(羊のもも肉)

上記のように、肉の種類や部位によって塩の浸透速度は変わってくる


ここからは、書籍によって書かれていることがバラバラである。(今回は、2018年12月に発売されたフランス式おいしい肉の教科書から紹介する)

ステーキに塩をふるベストなタイミングは2日前とされている。これは、塩が肉全体に浸透し、肉の表面がわずかに乾燥するためである。また、加熱しても肉は水分を保ち、同時に美しい焼き皮ができるとされている。
2日前に塩をふると、浸透圧の作用で水分が外に出ると思うだろうが、実際はその後肉は再び水分を吸収するため、加熱後ずっと柔らかくジューシーになる。

ちなみに、フランス式調理の科学の新常識(2022年8月発刊)では、
●厚さ2cmの牛ハラミ肉:15時間前
●牛リブロース肉:24時間前
●ローストビーフ肉:40時間前
に塩を振るのが良いとされている。

あらかじめ(1~2日前)塩をふった肉や魚は、加熱するとジューシーになる


他にも、
①約4~5時間前にふる
②1時間前にふって、焼く前にキッチンペーパーで水分をふき取る
焼いた後に塩をふる
などがある。
ただ、ステーキに関して言えば、焼く直前に塩をふるは間違いのようだ。
これは、焼いている最中に浸透圧の作用で水分が外に出てしまい表面を濡らしてしまうためである。

参考文献 Cooking for Geeks フランス式おいしい肉の教科書 モダニスト・キュイジーヌ フランス式調理の科学の新常識