じゃがいもと低温糖化

雪国では、野菜を雪に埋めて保存する雪室貯蔵という保存方法が存在する。
この時、雪室内は温度が1~5℃、湿度が90~95%となっており、この状況でじゃがいもを保存すると、低温糖化という現象が発生する。

低温糖化により、でんぷんの一部がブドウ糖に分解され、その一部は果糖に変換。さらにブドウ糖と果糖が結合してショ糖となり、ショ糖がじゃがいもの細胞の中の小器官に入ると、酵素によって再びブドウ糖と果糖に分解され、結果としてブドウ糖と果糖が増加する。これにより、じゃがいもの甘味が増す

この現象を自宅で再現するには、じゃがいもを新聞紙で包み、その上からぬれタオルで覆う。そして、ポリ袋に入れ口を閉める
保存の目安は1カ月となっており、品種にもよるが甘味が2倍程度増すとされている。

注意点としては、糖度が上がるため調理の際に焦げやすくなる、でんぷんの量が減少(分解されブドウ糖になる)するため粘質になり、男爵いもなどに特有のホクホク感は少なくなる等がある。そのため、焼き物より煮込み料理などに使う方が良いとされている。

 ※低温糖化は、じゃがいもの種類によって甘味が増す量が大きく変わるようで、一般的にスーパーで売られている加熱用のじゃがいもでは甘味が増す量は少ないとされている。(1カ月保存で約2倍)一方で、生食用のじゃがいもでは、保存期間にもよるが10倍以上甘くなるとされている。

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ここからは主観です。

今回の記事はあまり料理の役には立たないです。何故なら、じゃがいもが収穫されてからスーパーに並ぶまでどのように保存しているか(温度帯や湿度また収穫からどの程度の期間が経っているか)分からないからです。
また、1カ月前からじゃがいもをチルド室で保存しておくのも現実的ではない点や、甘くはなるが食感が変わるなど色々と問題を抱えています。今回はあくまで、食品知識の一つとして覚えておくといいでしょう。

参考文献 料理と栄養の科学 生食用ジャガイモ品種の低温貯蔵による糖含有量の増加特性 農林水産省HP 農研機構 認定農業生産法人有限会社大地