水分活性と菌の増殖

※難しい話はカットします

まず初めに、【菌の増殖と水分について】の記事を読むことをお勧めします。

水分活性(Aw)とは、菌が増殖するのに必要な水分(自由水)を表す指標である。
1.00~0.00の表示となっており、1に近づくほど自由水が多く、0に近づくほど少ない
つまり、0に近づくほど菌が増殖しにくい

水分活性(Aw)を下げる方法には、塩漬け砂糖漬け、乾燥などがある

表1

水分活性(Aw) 食品 微生物の発育最低Aw
0.9以上 野菜、果物、肉、魚介類、水産練り製品、チーズ、パン、バター 0.91以上で腐敗菌
0.9~0.8 カステラ、サラミソーセージ、穀類、豆類、塩鮭 0.88以上で酵母菌、0.8以上でカビ
0.8~0.6 味噌、醤油、ジャム、佃煮、塩から、魚の干し物、乾燥果実、でんぷ 0.75以上で好塩菌、0.65以上で乾燥カビ
0.6~0.5 煮干し、干しめん(水分12%)、香辛料(水分10%)、鰹節、キャンディー
0.5~0.3 乾燥全卵(水分5%)、ビスケット(水分3~5%)
0.2 粉乳(水分2~3%)、乾燥野菜(水分5%)、コーンフレーク

表2

水分活性(Aw) 砂糖水の濃度(%) 食塩水の濃度(%)
0.995 8.51 0.872
0.990 15.4 1.72
0.980 26.1 3.43
0.940 48.2 9.38
0.900 58.4 14.2
0.850 67.2 19.1
0.800 23.1

上記の表から分かること

●醤油や味噌は0.8~0.6Awのため腐らない(一般細菌は0.91Aw以上で増殖)
●非常食のビスケットなどが腐らないのは0.5Aw以下なため
19.1%以上の濃度の食塩水(0.85Aw)ではないと、菌が増殖する
つまり、塩を少し入れた程度では菌は増殖する(人に好まれる塩分濃度は0.8~1.0%)
ジャムの場合、砂糖を加えてさらに煮詰めて水分を飛ばすため高濃度になっている


ここからは主観です

今回は、菌が増殖する話であって【おいしさを保存する話ではありません
実際の食品は、空気によって酸化され味を劣化させていきます

また、現実にはどれほど乾燥させていても、空気中の湿気を吸って水分活性(Aw)を上げてしまうので注意が必要です。

参考文献 新訂調理科学 アサマ化成株式会社食品衛生ミニ講座