牛乳の吹きこぼれ

牛乳の吹きこぼれは、加熱して温度が上がると牛乳の表面張力が低下することが原因の一つである。
表面張力はできるだけ表面の面積を小さくしようと表面に働く力で、液体の温度が高くなると下がってくる

水が20℃から40℃になると表面張力は約5%しか低下しないが、牛乳は約25%も低下する。
表面張力が低下すると、界面を小さくしようとする力が働きにくくなるため、界面の大きい泡が消えにくくなる。そこで、牛乳はふきこぼれるのである。

さらに牛乳の場合、表面張力を下げるのに役立っている界面活性剤となるのは、タンパク質であり、多くのタンパク質を含む液体が泡立つのはこのためである。
例:豆乳、卵白、スープストック、煮物
※界面活性剤が多いと表面張力が低下し、吹きこぼれやすい

加えて、液体に粘度があると、いったん立った泡は消えにくくなるので、これもまた、吹きこぼれの原因となる

牛乳を温めると皮膜ができる

なお、ダシ、煮物、スープストックなどの泡は、泡の周囲に疎水性(水にとけない)の不味成分が吸着しているので、アクとして取り除く。
スープストックの場合、出来上がったスープストックにはタンパク質が6.3%、脂肪が1.6%含まれるのに対し、アクの中にはタンパク質が1.8%、脂肪が37.5%も含まれており、溶け出した脂肪の大部分はアクとして取り除かれている。

豆乳のアクについて
なべ物や煮物のアクについて
乳化(界面活性剤)について
パスタの吹きこぼれ対策にマーガリンを入れる

参考文献 おいしさと泡